
【業種】
市区役所(地方自治体)
【プロジェクト目的】
市区役所にて長年活用されてきた放置品管理業務システムは、Microsoft Accessを基盤として構築されており、柔軟な対応が可能な一方で、近年の運用環境や技術要件の変化により、複数の課題が明確化してきました。
- ローカル環境に最適化された構成は、Web化やクラウド利用、外部連携といった現代的なニーズへの対応に限界がある
- システムの中心を占めるSQL処理は、業務要件への対応とともに高度化・複雑化しており、保守や再構築の際には構造の可視化が必要
- タブレット端末やQR/バーコードスキャンなどのスマートデバイス対応が求められる中で、既存環境では対応が難しい機能も増えていた
- 運用上必要となる帳票の数が多く(62帳票)、かつ条件分岐や複数ページ構成、集計ロジックなど多様な出力要件に対応するため、帳票機能全体の見直しが必要
こうした背景を踏まえ、将来的な拡張性・保守性・ユーザビリティの向上を目的としたシステム再構築が検討されました。
【課題】
既存システムのリニューアルにあたり、以下のような課題が確認されました
- 長年の運用により、設計資料や仕様情報が一部散逸し、機能全体の把握に時間を要する場面があった
- 拡張対応の繰り返しによりSQL処理が複雑化し、保守性・品質維持の観点で整理が必要
- 自治体ごとの運用差異に対応するため、柔軟な仕様変更・カスタマイズが求められる
- 業務で使用されるバーコード・QRコードへの対応として、各種スキャナー機器やモバイル端末の汎用対応が必要
【AIフリーコード採用の決め手】
- 設計書に記述するだけで、WEB・モバイルアプリを自動生成することが可能
- 複雑なSQLロジックは再利用しながら変換・生成でき、品質を保ったまま移行可能
- ハンドルスキャナなどの特殊機器連携も含めた柔軟な設計が反映可能
- 複雑な帳票も、設計書に基づいて自動的に高精度で出力可能
【解決策・導入プロセス】
今回の開発では、ワンダーロボによる設計・開発支援と、AIフリーコードサービスによる効率的なシステム構築を導入しました。
具体的には以下の取り組みを行いました。
- ワンダーロボ設計書をベースに要件定義を可視化し、設計から開発、テストまでを一貫支援
- WEBアプリもAndroidアプリもワンダーロボ設計書から自動生成を基本とすることで、技術者のスキルに依存せず開発可能
- 開発後の追加機能や改修も、ワンダーロボ設計書を更新するだけで反映できるため、運用保守の内製化が実現
- 顧客自身で要件定義を設計書に落とし込めるようになることで、手戻りの少ない開発体制が構築された
決定的な特徴「すべてのソースが自動生成」
本プロジェクトにおいては、開発されたソースコードの100%全てがAIフリーコードによって自動生成されました。
これは、70万ステップ超の大規模案件においては極めて稀有かつ画期的な事例です。
- Javaソース、HTML、帳票定義、Androidコード、API連携定義まですべて自動生成
- 人の手によるコーディング作業は一切なし
- 実質的に「ノーコーディングでのフルスクラッチ再構築」を達成
【導入成果と実績】
- Accessの業務システムから、新アーキテクチャのWEB+モバイル環境に移行
- 設計書をテンプレート化し、他自治体向けに設計書を微修正するだけで再展開が可能
- 複雑な帳票や特殊スキャン要件にも、個別コーディング不要で対応可能
- すべて自動生成であるため、メンテナンス時も再生成・再構築が容易
【開発規模と構成】
項目 | 数値 |
総ソースコード量 | 約70万ステップ超(すべて自動生成) |
画面数 | 96画面 |
帳票数 | 62帳票(高難度) |
関数数 | 721本 |
テーブル数 | 82テーブル |
インポート機能数 | 1件 |
エクスポート機能数 | 16件 |
Java生成ファイル数 | 5,667ファイル |
HTML生成ファイル数 | 124ファイル |
Android画面数 | 12画面 |
【工数削減効果と導入インパクト】
- 通常であれば開発工程だけで40~50人月規模の開発案件を、フリーコード導入によりフルソース生成で構築完了
- 人件費換算で数千万円レベルの開発コストを削減
- 設計書を再利用することで、2次展開・3次展開の際も初期工数のわずか10~20%で対応可能
【導入メリットまとめ】
- 完全自動生成による短期開発と高品質を両立
- 属人性を排除した、持続可能な運用体制の確立
- 再展開可能なテンプレートモデルで、他団体への水平展開が現実に
- 高度な要件にも対応可能な柔軟性と拡張性を兼ね備えた開発手法